2001年3月23日
厚生労働大臣 殿
厚生労働省児童家庭局長 殿
全国福祉保育労働組合
執行委員長 茂木初子
緊急要望書
3月15日に、東京都豊島区池袋2丁目の雑居ビル2階にある保育施設「ちびっこ園池袋西」で起きた死亡事故は、その経営方針や保育実態から見て、当然起こりうる事故であったと言えます。私たち全国福祉保育労働組合は、1994年6月に、ちびっこ園の劣悪な労働実態を告発し、貴職にも緊急要望書を提出いたしておりますが、根本的な改善指導がなされてきたとは考えられません。1994年当時から、2〜4人の職員で50名前後の0歳児から学童児の子どもたちの「保育」が行われており、危険度は現在と同様の状態でした。新聞報道によれば、1994年以前に2件の死亡事故、以降にも2件の死亡事故を起こしており、それでも経営者は「職員は配置しているし、落ち度はない」などと言って責任を認めず、経営・運営の改善を図る姿勢は全くみられません。その背景は、年商25億円(1994年当時)と言われる「実績」であることが伺えます。
貴職は、「競争原理」「規制緩和」「企業参入」を中心とした「社会福祉基礎構造改革」をすすめ、保育サービスも含む福祉の市場化を推進しています。しかし、企業参入によって「保育」を商品とすれば「見栄えは良いが、原料は安い」商品が出回ることは明らかです。しかもその「商品」の質を見抜くには、「買って」「使って」みなければわからないという「危険性」を常に伴うこともまた明白な事実です。その間に犠牲になるのが「子どもの命」や「育ち」である以上、「保育」は決して「商品」にしてはなりません。「情報開示」や「第三者評価基準」だけで、こうした犠牲が克服できるでしょうか。「不良商品」をつくらないようにすることが、根本的な解決の道です。今回の事件は国・厚生労働省の姿勢に、物言えぬ子どもたちからの無言の「抗議」が起きているといっても過言ではありません。
ちびっこ園で働く職員は、多くの労基法違反を含む極めて過酷な労働条件の下で働いています。また、意見を言うと「解雇」「賃金カット」「嫌がらせ」等の制裁を受けるというかつて私たちが取り上げた問題も恐らくそのまま放置されていると思われます。「保育」を直接提供するのは「そこで働く人」であり、これらの労働環境についても充分な調査と改善指導が必要です。
保育水準を決める労働者の賃金・労働条件は良質の保育が提供できる水準でなければなりません。今回のような悲惨な事故を根絶するために以上述べたことと合わせて以下の点を強く要請します。
記
- 1.福祉・保育の市場化をやめ、児発第295号「保育所の設置認可等について」を見直すこと。また、待機児解消は公的責任に基づく公立・社会福祉法人で進めること。
- 2.保育の質を低下させる「規制緩和」「競争原理」「コスト論」の持込を止め、「定員の弾力化」「職員の非常勤化」をやめること。
- 3.今回の事件の経営責任を明確にし、児童福祉法に照らして、「営業停止」を含む強い姿勢で根本的解決を図ること。
- 4.「福祉人材確保基本指針」の完全実施ができる予算措置を行うこと。
- 2.保育の質を低下させる「規制緩和」「競争原理」「コスト論」の持込を止め、「定員の弾力化」「職員の非常勤化」をやめること。
以 上