2001年10月
児童福祉法の一部を改正する法律案要綱に対する声明
全国福祉保育労働組合
執行委員長 茂木初子
同 児童関連種別協議会保育部会
事務局長 仲野 智
「児童福祉法の一部を改正する法律案」を与党三党がとりまとめ、第153回臨時国会に議員立法として提出する動きを急速にすすめています。
「改正」の趣旨は、「都市化の進行及び家族形態の変容等児童を取り巻く環境が大きく変化し、児童の健やかな成長に影響を及ぼすおそれのある事態が生じていることにかんがみ…地域において児童が安心して健やかに成長することができるような環境を整備するため」としています。
主な「改正」の内容は@児童委員の職務の明確化およびその資質の向上、A認可外保育施設が提供するサービスに関する情報の公開と認可外児童福祉施設に対する監督の強化、B保育士資格の法定化、C認可保育所整備促進のための公設民営方式の推進となっています。
ベビーホテルなどへの監督の強化や情報公開の義務付け等は、子どものいのちを「金もうけの対象」とし、死亡事故を相次いで起こしながらも何ら反省をしてこなかった業者への遅すぎる対応です。また、私たちが長年要望してきた保育士を専門職として位置づける法制化でもあり、一定評価できる内容も含んでいます。しかし一方で、保育士の守秘義務に関する罰則規定など、新たな管理強化の危険性もあり、研究会等での事例研究への干渉や嫌がらせ等の労使問題の発生も危惧される側面も持っています。
「改正案」の最大の問題点は、「認可保育所整備促進のための公設民営方式の推進」です。すでに、厚生労働省は2000年4月から認可保育所の運営主体として株式会社等の企業の参入を認めました。それにより2001年4月、東京三鷹市では、公立保育所の運営を株式会社(ベネッセコーポレーション)に委託しました。また、2002年度の厚生労働省の概算要求(保育関係)においても「保育所施設費整備補助」の対象を拡大し、公設民営保育所やPFI方式による保育所整備にも補助を交付するとしています。国・厚生労働省はこれまでも「待機児童の解消」を錦の御旗として「規制緩和」や企業の参入を推進してきています。しかしこれらの規制緩和は、あくまでも「特例として」実施してきたとも表明しています。今回の「改正」法案は、待機児童の問題の解決の有無に関わらず、企業の参入を積極的に推進できるものであり、真のねらいがそこにあることは明白です。
私たち保育関係者は、子どもの権利を守る立場から「競争原理」や「効率性」を追求する保育の市場化に反対し、疑問や意見を表明してきました。今回の法案は、子どものいのちや育ちを「商品」として扱うことを法制化するものです。子どもは効率的には育ちません。少子高齢化社会だからこそ、一人ひとりの子どもに充分な時間や人手をかけ、良質の保育環境のもとで育てることが大切です。未来を担う子どもたちにふさわしい保育施策が強く求められている時です。
今回一番批判されるべき点は、与党3党の基本的スタンスです。広く国民世論や関係者の意見聴取もおこなわず、法案を直接臨時国会に提出し、数の力で強行しようとすることは、民主主義の理念を踏みにじる暴挙です。法改正に当たっては、専門職であり直接の担い手である保育関係者の意見を聴取・研究するなど、事前論議を丁寧に行うとが不可欠です。
私たちは、公的責任に基づく公的保障を縮小する狙いを持つ「児童福祉法の一部を改正する法律案」の議員立法に断固反対します。
私たちは、児童福祉法の再改悪を阻止するために、全国各地で「福祉ウェーブ」運動を大きく展開し、利用者・保護者、経営者等幅広い共同で強力な運動を推進する決意です。
以 上