《談話》

2000年5月26日

社会福祉事業法等の一部「改正」法案の
参議院・国民福祉委員会での可決にあたって

全国福祉保育労働組合
書記長 桑本 文幸

(1)本日、参議院国民福祉委員会は、「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案」(社会福祉事業法等「改正」法案)を、日本共産党以外の各党派の賛成によって可決した。これによって、間近に解散を控えているものの、今国会での同法案の成立は、ほぼ確定的となった。
 同法案は、4月14日の衆議院本会議で趣旨説明があり、4月21日から衆議院厚生委員会で審議がはじまったが、本日の参議院厚生委員会での可決まで衆議院で10時間弱、参議院でも8時間強の審議時間で成立が強行されたことになる。 社会福祉という国民の生存権にかかわる制度のあり方を根本から変えようという法律を、衆参の合計でも20時間に満たない短時間で仕上げるという不見識とそれを推し進めた自・公・保連立与党と政府に対し、強い憤りを覚える。

(2)私たちは、この法案の国会審議に際し、@社会福祉における国・自治体の公的責任を著しく後退させ、国民への負担強化につながる危険があること、A基盤整備の立ち遅れのもとで、「利用者によるサービスの選択」どころか「事業者による利用者の選択」という「逆選択」を広げる危険があること、B「非営利」を原則とした福祉サービスの営利事業化に道を拓き、社会福祉法人の変質につながる危険があること、Cそして、「利潤追求」を伴う「競争」のもとで、福祉サービスを支える福祉労働者の賃金・労働諸条件・雇用の悪化や不安定化につながる危険があること等を指摘し、各議員に対して繰り返し、「慎重・徹底審議」を要請してきた。また、衆議院での審議がはじまった時点では、「国民のねがう社会福祉の拡充を求める連絡会」(通称「福祉5団体連絡会」)として、緊急に「社会福祉事業法等の一部改正案に対する私たちの指摘」をまとめ、この法案の持つ問題点も提起してきた。
 これらの私たちの指摘や要求、要望に対し真剣に耳を傾け、国民の権利と生活を守る視点から、措置制度の改善と公的福祉制度拡充の立場にたって、最後まで徹底した審議による問題点の糾明を主張した日本共産党と同党の議員各位の奮闘に深く敬意を表し、感謝したい。また、私たちの運動に共感と支持、協力と共同、激励を頂いた全労連や中央社保協など多くの団体と関係者の皆さんに感謝したい。

(3)今回の社会福祉事業法等の「改正」に向けた私たちのたたかいは、97年11月、「社会福祉事業等の在り方に関する検討会」による「社会福祉の基礎構造改革について(主要な論点)」の報告・発表の時点にまで遡れば、足掛け4年に及ぶたたかいであった。特に、この「改革」が、98年6月に中央社会福祉審議会による「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)」によって本格化して以降は、福祉関係5団体による共同運動組織も結成し、二次にわたる署名運動や共同集会、共同交渉、多くの学習資材や宣伝物の提供など、ほぼ丸2年間わたって最重点の運動課題として位置づけた取り組みを展開してきた。
 今国会での法案の可決・成立によって、これらの運動は一つの区切りを迎えたが、決して終わったわけではない。2003年に予定される本格実施に向けて、政府は今後、100にも及ぶ政省令・通知等の具体化や改定によって、その内容を固めていくことになる。社会福祉施設の職員配置基準や設置基準の改定、サービス評価基準の具体化、「支援費」の水準や細目等もその重要な内容である。もとより、福祉サービスの基盤整備としての「障害者プラン」の抜本的な引上げも、今後の運動の重点課題となろう。

(4)参議院での参考人質疑にあたっては、日本共産党の推薦によって福祉労働者の厳しい労働条件等の実態を労働組合の立場から告発し、基礎構造改革の問題点を陳述する機会を得た。その中でも「福祉労働者の働く条件の善し悪しは、提供される福祉サービス内容にも直接的に影響する」ことを強調したが、今後、その点をよりいっそう実証的、実践的に明らかにしていくことが大きな課題になる。当面の重点は、介護保険制度のもとで、職場と福祉労働者の中に広がっている諸問題を、一つ一つ具体的に取り上げ、職場での要求と運動を地域・地方・全国での制度改善のたたかいに結び付けていくことである。
 地域における営利企業による「介護サービス」と労働者の実態をつかみ、公的責任に裏打ちされた非営利の社会福祉法人等によってこそ、国民も福祉労働者も権利と生活の保障が広がることを、実践的に明らかにしていくことも公的福祉制度の再構築への力となる。

(5)たたかいは今後、「考え方」や「仕組み」の問題のみならず、より具体的で現実的な問題でのたたかいにまで広がっていく。 福祉保育労は、それらのほとんどが「政治」と「制度」のあり方に結びついていることをしっかりと見据え、福祉を大切にする政治への転換と、それをなし得る民主的な連合政権の実現をめざし、来るべき総選挙に向け、奮闘する決意である。

以上


Last modified: Thu Oct 25 14:39:00 JST 2001